人気シンガーソングライター星野源さんの楽曲「地獄でなぜ悪い」が、2025年NHK紅白歌合戦での歌唱曲変更をめぐって大きな話題となりました。
この曲は星野源さんの個人的な闘病経験から生まれた作品でありながら、同名映画の主題歌でもあるという複雑な背景を持っています。
そのため、紅白での披露をめぐって様々な議論が巻き起こり、最終的には別の楽曲への変更が決定されました。
この一連の出来事は、アーティストの表現の自由と社会的責任、芸術作品と現実社会の関係性など、多くの重要な問題を提起しています。
本記事では、「地獄でなぜ悪い」にまつわる経緯や星野源さんの思い、そして変更後の反響について詳しく見ていきましょう。
また、この騒動を通じて浮き彫りになった星野源さんの音楽性や、彼の作品に込められた深い意味についても探っていきましょう。
星野源の「地獄でなぜ悪い」とは

「地獄でなぜ悪い」は、星野源さんが2013年にリリースした楽曲です。
この曲は、星野源さんが2012年にくも膜下出血で倒れた経験を元に制作されたものであり、彼の個人的な体験と感情が色濃く反映されています。
星野源さんは自身のエッセイ本『蘇える変態、』で、この曲が生まれた経緯を詳しく綴っています。
彼は入院中、隣室の患者の声を聞いて、自身の闘病生活を思い出し、病室で歌詞を書き始めたといいます。
この曲は、星野源さんにとって非常に個人的で重要な作品なのです。
紅白歌合戦での曲目変更の経緯
当初、星野源さんは第75回NHK紅白歌合戦で「地獄でなぜ悪い」をギター弾き語りで披露する予定でした。
しかし、この選曲をめぐって批判の声が上がることになります。
批判の主な理由は、「地獄でなぜ悪い」が同名の映画の主題歌でもあり、その映画の監督に関する性加害疑惑が報じられていたからでした。
批判者たちは、この曲を紅白で歌うことが性被害者への二次加害になる可能性があると指摘。
これらの批判を受けて、星野源さんとNHKは協議を重ね、最終的に歌唱曲を「ばらばら」に変更することを決定しました。

星野源の思いと対応
星野源さんは公式サイトで、曲目変更に関する詳細な説明を発表しました。
彼は「地獄でなぜ悪い」が自身の闘病経験から生まれた曲であることを強調しつつ、同時に映画のタイトルからヒントを得たことも認めています。
星野源さんは、この曲を紅白で歌唱することが二次加害にあたる可能性を完全に否定できないと述べ、「私たちは、あらゆる性加害行為を容認しません」と明確な立場を示しました。
この声明は、彼の誠実さと社会的責任感を示すものとして、多くの人々から支持を得ました。
「ばらばら」への変更と深い意味
代替曲として選ばれた「ばらばら」は、星野源さんのデビューアルバムに収録されている楽曲です。
この選曲自体が、今回の騒動に対する星野源からの意味深長なメッセージではないかという解釈が広がっています。
「ばらばら」の歌詞には、
- 世界はひとつじゃない
- ああそのまま
- ばらばらのまま
- 世界はひとつになれない
という一説があります。
この歌詞が、現在の状況や社会の分断を象徴しているという見方が多く出ています。
音楽ジャーナリストの柴那典氏は、『ばらばら』を選んだことに”星野源らしさ”を感じて痛快ですらあるとコメントしています。
SNSでの反響
曲目変更のニュースは、SNS上で大きな反響を呼びました。
多くのユーザーが星野源さんの決断を支持し、彼の誠実な対応を称賛しています。
Xでは「曲目変更」「楽曲変更」「源さんの曲」など複数の関連ワードがトレンド入り。
ユーザーからは、
- 『ばらばら』を代替曲にするところが皮肉でパンチが効いてて星野源がさらに好きになった
- あの歌詞を紅白で歌うなんて過激でパンクすぎる
といったコメントが多く見られました。
星野源の音楽性と「嘘」のテーマ


この騒動を通じて、改めて注目されたのが星野源さんの音楽性、特に彼の歌詞に込められた深い意味です。
星野源さんの歌詞には「嘘」というテーマが頻繁に登場し、その意味は多層的で深いものがあります。
星野源さんは「嘘」を単なる欺瞞や偽りとしてではなく、時には人々を支えるものとして捉えています。
彼の歌詞における「嘘」は、現実の厳しさや悲しみから逃れるための手段であり、または人間関係を円滑にするための潤滑油のような役割を果たすことも。
この「嘘」のテーマは、星野源さんの幼少期の経験にも関連しているそうで、友人の家族に嘘をつかれた経験が自身の音楽性に大きな影響を与えたと語っています。
また、明るい歌詞が書けないと言う星野さん。
何か明るいものや希望を描く際、まずは絶望を描くことをしないと、明るいものや希望が薄く見えてしまう感覚になると、彼は自身の歌詞の制作秘話を明かしています。



表裏一体の法則だねー
まとめ
「地獄でなぜ悪い」をめぐる一連の出来事は、アーティストの表現の自由と社会的責任のバランスについて考えさせられる機会となりました。
星野源さんの誠実な対応と、彼の音楽に込められた深い思いが、改めて多くの人々の心に響いたと言えるでしょう。
この騒動は、芸術作品と社会問題の関係性、アーティストの個人的経験と公共の場での表現のあり方など、多くの問題を提起しました。
同時に、星野源さんの音楽の深さと、彼の誠実な人柄を再認識させる機会にもなりました。
今後も星野源さんは、自身の経験や感情を誠実に音楽に反映させながら、社会との対話を続けていくことでしょう。
彼の音楽が多くの人々の心に寄り添い、希望を与え続けることを期待せずにはいられません。
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